民法25「家督相続②」

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法定推定家督相続人の廃除(旧975)
法定の推定家督相続人としての身分を失わせるだけで、その者の相続する権利をすべて剥奪するものではない。
廃除された者でも指定または選定により被相続人の家督相続人となることができる。

廃除の取消裁判が確定したときは、法定の推定家督相続人となる地位が回復する。この場合第一順位で家督を相続することになる。

例えば、長男甲が廃嫡※させられ分家し、さらに廃家をして上本家に入籍後、廃除の取消しがあったとき、甲は代襲相続人である自己の長男に先んじて相続人となる。

※廃嫡とは、嫡子に対して、何らかの理由(素行不良・父子対立・・・)によりその権利を廃することをいう。

民法24「家督相続①」

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家督相続(戸主の死亡等により開始した相続)
旧法における家の相続であり、戸主権の相続である。
戸主である身分関係の相続であるから、相続人は一人に限定され、家長である地位を承継することにより、その「家」の財産すべてを包括的に承継する。
また身分関係の承継を伴うことにより、系譜・祭具及び墳墓の所有権は家督相続人の特権に属するものとされている。

家督相続の開始原因
死亡相続→戸主の死亡、失踪宣告による擬制死亡
生前相続→戸主の隠居、国籍喪失、戸主の去家、女戸主の入夫婚姻又は入夫の離婚

家督相続人の欠格事由(旧969)→すべて(法定・指定・選定を問わず)家督相続人の家督相続権を喪失する。但し戸籍への記載はされない。

民法23「絶家」

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戸主が死亡し家督相続が開始したにもかかわらず、法定または指定の家督相続人がいないため、自然に家が消滅することをいう。

絶家処分の確定は①財産のある家の戸主が死亡した場合→相続曠缺(こうけつ)の手続きによって相続人のいないことが確定した時。(実際は親族会が他家にまで家督相続人を求め選定する場合が多い)②無財産の家の戸主が死亡した場合→家族から無財産の証明があって一家創立の届出がなされたときは、曠缺の手続きを取らずに当該届出時に絶家したものとされた。③無財産で家族もいない場合は、戸主の死亡した時に即時に絶家となる。

民法22「廃家」

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「廃家」(はいけ)は、戸主が他家に入るために、自ら家を消滅させる行為であり、戸主のみがなしうるものであった。但し、家督相続により戸主となった者は、一定の正当な事由があり、かつ裁判所の許可がなければ「廃家」することは許されなかった。
一家創立、分家などの新立の戸主は自由に廃家をなしえた。
廃家の効力は、戸主が他家に入籍する婚姻や縁組、親族入籍、本家相続などの届出と同時に「廃家」の届出もすることにより効力を生ずる。(大5・9・11民485回答)
廃家をすると、戸主権は絶対的に消滅する。その他の権利義務は当然消滅せずは廃家したあとも廃家した者に属する。
廃家をした戸主の家族は、戸主に従って当然に、入家先の家の家族となる。

民法21「廃絶家再興」

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廃家(はいか)又は絶家(ぜっけ)によって「家」が一たん消滅した場合において、一定の条件のもとに、その「家」の再興を許した。(旧民法743・762)

これを称して「廃絶家再興」という。

廃家再興は、廃家によって消滅した家を復活させることであり、絶家再興は戸主を失って家督相続人がいないために消滅した家を復活させること。

廃絶家再興は、「家」を復活することであるが、単に廃絶した家の「家名」を称することが認められたに過ぎず、財産などを承継する家督相続とは異なり廃絶家戸主に財産があっても、再興者に相続する権利は認められていない。
(大2.7.7大審院判決)

廃絶家再興には、「家族による再興」「戸主による再興」「復籍すべきものによる実家再興」の3種類があった。

民法20「実家・婚家・養家」

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婚家(こんけ)⇒婚姻により夫又は妻の家に入った場合、その家に入った者からみて、その入った家を「婚家」という。
養家(ようけ)⇒養子縁組により養子となった場合、その養子となった者からみて、その養親の家を「養家」という。
実家(じっか)⇒以上の者が、従来から属していた家を「実家」という。

ちなみに、転婚や転縁組をした者の実家とは、現在の婚家、養家を基準にして従前に属していた家のことをいうと解されている。

※「転婚」とは、「一方配偶者(甲)の氏」を称することを選択して婚姻した他方配偶者(乙)が、甲の死後、「実方の氏」に復することなく新配偶者(丙)と「新配偶者(丙)の氏」を称して婚姻することをいう。

民法19「同家・他家・去家・入家」

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同家(どうけ)とは、同じ本家から分家した家が、相互に呼び合うときに称する。(旧743)

他家(たけ)とは、本家分家などの関係があってもなくても、一家からみればその家以外の家はすべて他家と呼ぶ。(旧737)

去家(きょか)とは、旧法における「家」にある者が、何かしらの原因によりその「家」を去ることをいう。⇔入家

実家(実家)という言葉は、今も使われています。

辞書を引きますと、自分の生まれた家、生家とあります。

しかし旧法では、婚姻または養子縁組により他家へ入った場合、その入った「家」を婚家(こんけ)養家(ようけ)

と呼び、それらの者が従来属していた「家」のことを実家と定義されていました。

民法18「分家Ⅳ」

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分家する前に出生した子ども(嫡出子)の出生届が、分家後に出された場合の戸籍の取り扱いについて
出生時に原始的に本家の家族である身分を取得しているのであるから、出生当時の父親の家である「本家の戸籍」に入るべきものとされていた。
(大13・2・14民797、昭16・1・14民甲34)

但し、たとえ旧法時の分家前に出生した分家者の子の届が、新法戸籍改製後に出された場合には、直ちに改製後の分家戸籍に入ることとなった。
(昭34・9・10民甲第2003回答)

参考資料 兵庫県司法書士会 明治民法

民法17「分家Ⅲ」

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分家戸主が本家において設けた三男のみを分家の家族として入籍させたとき⇒その三男の分家戸主との続柄は、その分家の地位を示すものとして「三男」ではなく「長男」として表示されていた。
(大5・6・5民392、大11・6・5民2144・昭9・6・25民甲921)

新憲法施行後は、父母双方を基準としていずれの戸籍にあるとを問わず算定することになり、従前の戸籍の記載は、申出または職権により訂正することとなっている。
(昭22・10・14民甲1263通達)

分家は本家とは特に密接な関係にあり、互いにその利害を考慮し、ことに本家の廃絶を救うべきものとされた。

資料:明治民法 兵庫県司法書士会版

民法16「分家Ⅱ」

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・本家に在籍する分家者の妻は、夫に随って当然に分家に入る。(旧745)
・分家者の直系卑属・・・当然に分家の家族となるのではなく、本家の戸主の同意があれば分家とともに随従させることができた。(随伴入籍 旧743条2・3項)
・妻の私生児は分家者(夫)の直系に該当しない。(大13・2・14民757回答)
・分家者の直系尊属、兄弟姉妹の随伴入籍することは認められなかった。(大7・7・12民1984回答)
【明治民法 旧法 兵庫県司法書士会テキストから】

尊属・卑属
尊属と卑属の区別は古代中国の※輩行制度に由来するとされるが、尊属と卑属の語については法の下の平等から問題であるとする論や、これらの語は現代においては適切でないとして改めるべきとの論がある。
しかし、他の語に変えようがないのが現状とされる。【ウキペディアより】

※「輩行」とは

伝統的な中国において親族関係を規定するのに重要な役割を果たしたのが宗の観念である。
宗とは、女系を排除した親族概念であり、共同祖先から分かれ出た男系血統のすべてを指し、そのような血統に属する人々を宗族という。

宗族において最も重視されるのが上下の人間関係であり、相互関係の基準となる原理を輩行という。
まず世代を基準に上下を決め、世代の上の者を尊、下の者を卑と称する。
同じ世代の間では年齢を基準に上下を決定し、年長者を長、年少者を幼と称する。
尊長とは自分より上の者、卑幼とは自分より下の者を意味する。
【中国社会の組織原理より】