民法改正 損害賠償の範囲


rental;wikipedia コンゴ民主共和国 キンシャサの市章→goo.gl/4Zi1Kd

 

損害賠償の範囲(民法第416条)

 

民法第416条の規律を次のように改めるものとする。

 

【改正】
第1項 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。(改正前と変わらず)
第2項 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

改正前の第2項 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

 

【ポイント】
債務者が現に予見していたかどうかにかかわりなく、規範的な評価を問題とする趣旨。

契約の締結後に債権者が債務者に対してある特別の事情が存在することを告げさえすればその特別の事情によって生じた損害が全て賠償の範囲に含まれるというのではなく、債務者が予見すべきであったと規範的に評価される特別の事情によって通常生ずべき損害のみが賠償の範囲に含まれる。

 

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料(抜粋)

民法改正 代償請求権

rental;wikipedia ジョージアの国旗goo.gl/KsMzCm

代償請求権(民法第422条の2)

代償請求権について、次のような規律を設けるものとする。

【新設】第422条の2 債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる。

【ポイント】
判例明文化(最判昭和41年12月23日)

債権者は、代償請求権と填補賠償請求権のどちらを選択しても可。 債務不履行につき、債務者の免責事由の有無は、代償請求権の要件から除外されている。これは、債務者に支払能力がない場合や、資産を隠匿された場合等から債権者を保護することを重視したものである。

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料

民法改正 履行遅滞中の履行不能

rental;wikipedia ウクライナの国章

履行遅滞中の履行不能(民法第413条の2)

履行遅滞中の履行不能について、次のような規律を設けるものとする。

【新設】
第413条の2 債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。

【ポイント】
判例明文化(大判明治39 年10 月29日)
債務不履行による損害賠償責任の免責事由として民法第415条により、債務者の責めに帰することのできない場合、債権者は損害賠償請求ができないと定められている。では、履行遅滞になった後、債務者の責めに帰することのできない事由によって履行不能になった場合、損害賠償請求が可能なのか、との疑問に対し債務者の責めに帰すべき事由によって履行不能になったものとみなすというルールを定めた。つまり免責事由のない履行不能も、履行遅滞が前提として生じれば、帰責事由ありとなり、責任を負わなければならない。

【参考】受領遅滞中の履行不能
第2項 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料

民法改正 不確定期限における履行遅滞


rental;wikipedia アルメニアの国章goo.gl/tSrt2B

不確定期限における履行遅滞(民法第412 条第2項関係)

不確定期限における履行遅滞の規律を次のように改めるものとする。

【改正案】改正
債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。

【現行】
債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。

【ポイント】
解釈の明文化
債務者が期限の到来を知らずに、債権者から請求を受けた場合でも遅滞の責任は生ずる。

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料

民法改正 債務の履行に代わる損害賠償


rental;wikipedia サモアの国章 goo.gl/US3eEK

債務の履行に代わる損害賠償(民法第415条2項関係)

債務の履行に代わる損害賠償の要件について、次のような規律を設けるものとする。

【改正案】新設
前項(民法第415条第1項)の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

(1) 債務の履行が不能であるとき。
(2) 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(3) 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

【ポイント】
填補賠償→主に判例の明文化
交換契約でこちらの債務を履行したい場合、継続的供給契約で不履行部分のみを問題とする場合などに実益あり。

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料

民法改正 債務不履行による損害賠償とその免責事由

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rental;wikipedia ソロモン諸島の国章:goo.gl/U3KSoE

債務不履行による損害賠償とその免責事由(民法第415条1項関係)

民法第415条1項の規律を次のように改めるものとする。

【改正案】新設
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

【ポイント】
債務不履行と履行不能の抗弁を明確化、免責事由の立証責任を明確化。いずれも「~債務者の責め」でないことを債務者が証明すれば責任を免れる。

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料

民法改正 履行請求権等

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rental;wikipedia : バチカンの国章→goo.gl/xgI5Rl

履行の不能

履行の不能について、次のような規律を設けるものとする。

【改正案】新設
第412条の2 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。

【ポイント】基本的ルールを明文化。任意規定である。「債権者は債務者に対して、その債務の履行を請求することができる」が大前提。「不能であるとき」とは、原始的不能と後発的不能とを区別しない。不能が債務者の責めに帰すべきものであれば、債務者は履行に代わる損害賠償債務を負担し、債務者の責めに帰することができないものであれば、債務者は反対給付を受ける権利を失う。(ただし、債権者の責めに帰すべきものであるときは、なお反対給付を受ける権利を有する。)

履行の強制(民法第414条関係)

民法第414条第1項の規律を次のように改めるものとする。

【改正案】
第414条 債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。

【ポイント】直接強制に限られないことを明示。
現行2項と3項は、民事執行法に一元的に規律。代替執行や意思表示の擬制は民事執行法に置いた方が民法と民事執行法の役割分担が明確になる。

【参考】現行第414条2項、3項→削除
2 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。
3 不作為を目的とする債務については、債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料

民法改正 法定利率2

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rental;wikipedia : グアテマラ共和国の国章 goo.gl/DofwW6

金銭債務の損害賠償額の算定に関する特則(民法第419条第1項関係)

民法第419条第1項の規律を次のように改めるものとする。

【改正案】
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

【改正前】
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

中間利息控除

中間利息控除について、次のような規律を設けるものとする。

【改正案】新設 判例(最判平成17年6月14日)の明文化か?
第417条の2 将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。

2 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。

民法改正 法定利率

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rental;wikipedia キプロスの国章 goo.gl/Yty72A

変動制による法定利率(民法第404条関係)民法第404条の規律を次のように改めるものとする。

【改正案】
第404条利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。

2 法定利率は、年3パーセントとする。

3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を1期とし、1期ごとに、次項の規定により変動するものとする。

4 各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。

5 前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12 月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が1年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を60で除して計算した割合(その割合に0・1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。

(注)この改正に伴い、商法第514条を削除するものとする。

【現行】
第404条利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年5分とする。
(参考)商法第514条商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年6分とする。

【ポイント】現行は年5%(商事法定利率年6%)の固定制である。法定金利と実勢金利の乖離が大きいことから、固定制を廃止して短期(貸付期間が1年未満)の市場金利に連動する変動制になる。ただし、3年毎に見直しが行われるため、市場金利に比べて変動の頻度は少ないものとなる。

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料

民法改正 選択債権

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rental;wikipedia フィジーの国章 https://goo.gl/7UzvY7

債権の目的(法定利率を除く。)

2 選択債権(民法第410条関係)民法第410条の規律を次のように改めるものとする。

【改正案】
債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する。

【現行】
第410条 債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。
2 選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、前項の規定は、適用しない。

【ポイント】
現行法は、原則として、残存債権のみとし、選択権を有しない当事者の場合を例外規定(不能債権(損害賠償・解除)を選択可)とした。しかし、当事者双方無過失の場合も選択権者の選択権を維持しておくべきとの批判があった。そこで、選択権者に過失有の場合は残存債権のみとし、それ以外(当事者双方が無過失の場合を含む)は、残存債権か、不能債権(損害賠償・解除)かを選択可能とした。なお、原始的不能と後発的不能との区別は廃止した。

参考 日本司法書士会連合会 民事法改正対策部資料