遺産分割協議とは、相続開始により共同相続人全員で共有となった遺産を、個々の財産に分けるための話し合いのことをいいます。法定相続分や遺言の内容と異なる割合で相続分を決めることができます。
遺産分割協議書がある場合は、相続登記や預貯金の相続の際に提出を求められます。どのように遺産分割協議をすべきか、協議がまとまらない場合の調停手続きなどについて司法書士がアドバイスします。
遺産分割協議書とは、相続人全員が参加して遺産分割協議を行った後、そこで合意した分割案を文章として書きとどめたもののことをいいます。相続人全員の署名と実印を押すことによって完成させます。
遺産分割協議書があれば、対外的にだれが何をどのくらい相続したのか主張することができます。例えば、銀行で亡くなられた方の預貯金を引き出す際や不動産の名義変更の際に提出が求められます。そして各相続人は遺産分割協議書に拘束され、基本的に撤回する事ができません。もし、遺産分割協議書の内容を書き換える場合には、他の相続人全員との合意が必要となります。
遺産分割協議はどのように進めるべきか、法律的に定められた書式はありませんが、いくつかの注意点があります。
こちらもご覧ください 》コラム「遺産分割の方法」
遺産分割の話し合いがまとまらない場合には、相続人は、他の相続人全員を相手方として、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をすることができます。この調停とは、家庭裁判所において、調停委員が各相続人の考えや意見を聞いたり、裁判官から解決策を提案されたりして話し合いが進められます。調停が不成立となった場合には、申立てることなく自動的に審判手続きに移行します。不備のない調停申立書作成のために司法書士によるサポートをお勧めします。
遺産分割協議書に添付する印鑑証明書に期限はありますか?(印鑑証明書の期限)
売買や贈与等による所有権移転登記に添付する印鑑証明書は3か月以内に取得したものでなければなりませんが、相続登記に添付するものには期限の定めはありません。ただし、金融機関等に提出する場合は、3か月又は6か月以内のものを必要とされる場合があります。
遺産分割する相続人の中に未成年者がいる場合はどうするのでしょうか? (未成年者と遺産分割)
未成年者の遺産分割は、本来親権者が法定代理人として未成年者に代わって行います。しかし、例えば、父親が死亡し、妻と未成年の子が遺産分割する場合、父親の妻(未成年者の母親)と未成年の子の協議は互いに利益が相反することとなり、法定代理人となることはできません。そこで、この場合は、親権者であるこの妻が、裁判所に子の特別代理人選任の申立てをし、専任された特別代理人が未成年者である子に代わって、被相続人の妻とともに遺産分割協議に参加するということになります。
遺産分割の協議がまとまらない場合はどうしたらよいのでしょうか?
遺産分割について、相続人全員の話がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停及び審判によって進めることができます。まず調停を申し立てます。裁判所が間に入って、各相続人から事情を聞いて、客観的に解決できるようリードしてくれます。それでもまとまらない場合は、審判手続きへ移行します。各相続人が主張や立証を展開し、最終的に裁判官が遺産分割を決定します。
遺産分割する相続人の中に認知症の人がいる場合の相続手続きはどうなりますか?
遺産分割協議は必ず相続人全員でする必要があります。認知症などにより判断能力を欠く方がいる場合には、遺産分割協議(法律行為)ができません。
その場合、下記の手続き方法を検討し手続きを進めることになります。
①遺産分割協議により分割方法を決めるのではなく法定相続分どおりに分割する。
②家庭裁判所に成年後見開始申立てをし、成年後見人等を選任後、その者が遺産分割協議を行う。
遺産分割の対象となる財産は何ですか?
不動産、預貯金、現金、株券、車、受取人が指定されていない生命保険金などが遺産分割の対象となります。しかし、受取人が指定されている生命保険金や死亡退職金、遺族給付(遺族年金等)は、受給権者が固有の権利として取得するものなので、遺産分割の対象にはなりません。また、香典は、喪主に贈られたものと考えられるため、遺産とは言えません。
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