未成年者の相続放棄

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Q 相続人が未成年者等である場合の相続放棄はどのようにするのか?(未成年者の相続放棄)

A 未成年者の法律行為は法定代理人である親権者が代わりに行うのが原則です。ただし、親権者と未成年者との間で利益が相反する場合は、家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任しなければなりません。もっとも、親権者自身も同時に相続放棄する場合は、法定代理人として未成年者のために相続放棄することができるとされています。熟慮期間の起算点は、法定代理人が未成年者のために相続の開始があったことを知った時から起算されます。相続人が成年被後見人である場合も同様です。ただし成年後見監督人が選任されている場合は、かかる監督人が被後見人に代わって放棄することになり、特別代理人の選任は不要です。なお、後見人が被後見人より先もしくは同時に相続放棄する場合でも後見監督人の同意が必要です。相続人が被保佐人である場合は、特別代理人の選任は不要です。民法13条6号により、被保佐人は保佐人の同意を得て相続の承認・放棄をすることができるからです。

特別代理人の選任申立手続き(親子間の利益相反)
利益相反(親子間の利害の衝突)の判断は、客観的、外形的に考察すべきであり、親権者の動機や意図に基づいて判定すべきではないとされます。
申立人 親権者、後見人、子の親族その他の利害関係人
管轄  子(未成年被後見人)の住所地の家庭裁判所
添付  ①親権者 ②子の戸籍謄本 ③特別代理人候補者の戸籍謄本 ④利益相反に関する資料(遺産分割協議書案、契約証書案など)

家庭裁判所ウェブページ特別代理人選任申立書記載例はこちら
 

相続放棄の期間


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Q 相続放棄はいつまでにしなければならないのか?(相続放棄の期間)

A 相続放棄は、原則として、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述してしなければなりません。相続人が相続の放棄をしないうちに、さらに死亡した時は、死亡した相続人の相続人が、自分のために相続の開始があったことを知った時から起算されます。

1.熟慮期間
相続を放棄するためには、前提として相続財産(積極財産と消極財産)を調査する必要があります。この調査期間を熟慮期間といいます。民法は、この熟慮期間を「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」と定めました。ただし、特別な事情がある場合は、利害関係人の請求により家庭裁判所において熟慮期間を伸長することができます。

2.再転相続人の熟慮期間
たとえばAが死亡し、Aの相続人Bが相続の承認や放棄をしないまま死亡し、Bの相続人CがAの相続人となることを再転相続といいます。この場合の熟慮期間は、相続人の相続人(再転相続人)Cが自分のために相続の開始があったことを知ったときから起算されます。

3.熟慮期間の起算点
熟慮期間の起算点は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とありますが、これをいつとみるべきかの問題があります。判例をみますと、古くは「被相続人の死亡の事実を知ったとき」(大判大10・10・20民録27.1807)とあり(相続原因覚知時説)、のちに、「被相続人の死亡の事実を知っただけでなく、それによって自分が相続人となったことを覚知したとき」(大決大15.8.3民集5.10.679)(相続人覚知時説)と改めました。その後も、これを起算日とする判例は少なくありません。しかし相続財産の認識がない場合には熟慮期間は進行しないとするもの(東京家審昭47.6.2家月25.5.50)等や、特段の事情があるときは、熟慮期間経過後であっても相続財産の存在を知った後、遅滞なく限定承認ないし放棄することが許されるとしたもの(東京高決昭57.9.27家月35.11.89)等々、相続財産の認識がない場合に熟慮期間は進行しないとするものが多くなってきました。そして最高裁は昭和59年に新しい判断を示しました。すなわち「相続人において相続開始の原因となる事実およびこれにより自己が相続人となった事実を覚知したときから3カ月以内に限定承認または放棄をしなかったのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との交際状態、その他諸般の状況からみて、当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において、このように信じることにつき相当な理由がある場合には、熟慮期間は、相続人が相続財産の全部もしくは一部の存在を認識した時または通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である」としました。したがって、借金等の相続債務の存在についても、相当な理由がある場合には、熟慮期間が延長される場合が考えられます。

4.熟慮期間の計算
熟慮期間の起算点については、民法の原則どおり初日は算入しません。

参考 相続における承認・放棄の実務(新日本法規)